日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

造成地でも地中に何があるかはわからない

 現在、住宅地となっている造成地でも、

地中に障害物などが入っていることがあります。



 周辺を見渡しても、ビルなどは無く住宅ばかり。

しかし、過去には工場があったそうです。


 要は、工場の跡地が住宅地になったとのこと。



 この住宅地で、家を建て替えようとして、地盤調査をしたら、地中障害物だらけ。

これでは地盤調査ができないため、地中障害物を撤去しようと、土を掘ることに。

掘っても掘っても地中障害物だらけ。

どうやら、元の工場の廃棄物や廃材などが、造成工事前に埋められていたようです。



 このように一見閑静な住宅地でも、過去にどのような建物があったのか無かったのか等々、

登記簿謄本や古い地図などで履歴を調べておくことも重要です。


 土地を購入してからでは、大変なことになるかもしれません。十分ご注意ください。


関東:大垣 康行


基礎工事検査の重要性


 建築工事中の第三者検査の重要性を我々はお伝えしていますが、後からでは見えなくなってしまう部分の検査は非常に大切です。

 家づくりのスタートとなる基礎工事は、コンクリートを打ってしまうとそのなかの鉄筋の状態は後からでは全く見えなくなってしまいますので、必ずコンクリートを打つ前に見なければなりません。



 ポイントは、鉄筋が設計通りの物が適正に入っているかどうか、鉄筋の周りのコンクリートの被り厚さが取れているか、などをチェックします。

 基礎の中央に鉄筋が入っていることが基本となり、鉄筋と枠の間がコンクリートの被り厚さとなります。

 基礎は、鉄筋とコンクリートが一体となって適正な強度が確保されますので、この被り厚さは非常に重要です。



 この被り厚さをきちんと取らずに、適当に工事がされた場合は後々問題が発生してしまいます。

 出来上がったばかりのときはきれいな状態で、見た目では何も問題が無いように見えてしまいます。

 しかし、年数が経ってくると、コンクリートが薄い部分では鉄筋の錆が発生し、コンクリートを壊してしまうことも起こります。

 写真のように壊れた基礎を見てもらえれば、実は鉄筋がすぐ下にあったことが解ります。



 このように、後から解るようではどうしようもありません。
コンクリートを打つ前に、見えなくなる前に検査を入れることが大切であることがお解り頂けると思います。

理事長:植田 達二


耐力壁の耐力低下の原因です!

 上記写真は、近年木造住宅の耐力壁(耐震壁)として使用されている面材での、釘打ちのめり込み状況です。

 使用する面材により、建材メーカー等のめり込みの規定があります。

 その数値を逸脱してしまいますと、設計で決めている耐力が確保できなくなってしまうことがあります。

 例えば耐震等級3を設計していても、満たさなくなってしまうこともありえます。

 現場監督がしっかりチェックしないと、そのまま進んでしまい、見えなくなってしまいます。

 構造耐力上の重要な部位になりますので、十分ご注意ください。

関東:大垣 康行


工事中の不良施工の3つの原因

 何事の結果には原因があります。
 
 工事中の不良施工にも原因があります。


 
 最低でも工事中には3回のチェックポイントがあるのですが、それを全て見逃してしまうことであとで施工不良が発見されることがありますし、中には施工不良が発見されないまま出来上がった建物に居住してしまうこともあります。
 
 家を建てる方・家を買われる方は今一度ご自身の家についてお考えいただく機会になれば幸甚です。


 今回はその3つの原因についてです。


①職人自らによる未チェック
 間違っていないと思いこんでいる職人も多いようで、自らチェックしていないことがあります。
 また、ミスに気が付いていても「このくらいはいいだろう」という甘い認識で進めている場合もあります。
 まずここでミスに気が付けば修正も小さくて済むのですが、スルーされてしまうことがあります。


②現場監督の未チェック
 このことも当会ブログでたびたび指摘していますが、現場監督が現場を厳しくチェックできていないことです。
 多くの現場監督は工事の段取りが主な仕事のようになっていることも問題の1つかと思われます。


③工事監理者による現場の未チェック
 各現場ごとに「工事監理者」という現場チェックの責任者が決まっています。この「工事監理者」は確認申請書に名前が記載されています。
 ですが、「工事監理者」が自ら現場をチェックしていることは少ないのが実情のようですので、この段階でもスルーされているのが現状です。



 このようにミスが発見されなければ、そのまま工事は進んで完成してしまいます。

 ですので建て主の方たちは、「工事中のチェック情報」を必ずもらってください。
 「誰が」「どのように」チェックしたのか、工事写真やチェックシートなどの「工事中のチェック情報」をもらってください。完成してしまうと骨組みなどは見ることがほとんどできませんので。

 施工業者を信じることは大事ですが、信じるに値する情報を得ることで安心を担保できると思いますので、遠慮なく申し出て自分自身を守ってください。
 


関東:大垣 康行


ハウスメーカーの現場確認の現状 その3

ハウスメーカーの現場確認の現状 その3


下記写真は、当会の欠陥住宅予防検査(2×4工法)の上棟検査の模様です。



2×4工法の構造の要(かなめ)は、釘と補強金物です。

この現場は、長さ45㎝ほどの帯状の補強金物がすっぽりと付け忘れていました。



こんな大きな金物なので図面と現場を照らし合わせれば、ひと目で気が付くはずです。

ということは、全くのノーチェックなのです。

大工さんに任せっきりで誰もチェックしていないのです。



現場監督さんと前もって検査の日を決めて、
現場に伺ってもこの有様です。

いくら良い図面を描いても現場でキッチリと施工されなければ
いわゆる「絵に描いた餅」となります。



家づくり・建築というものは、現場確認が最も大事な仕事です。

建築こそ現場第一主義なのです。



「仕事が忙しい」、「現場が沢山あり時間が取れない」というのは理由になりません。



また、現場監督自身の仕事に対する責任感の欠如や
自分のやるべき仕事が分かっていないということを
欠陥住宅予防検査を行っていて毎回痛感しています。



特にハウスメーカーの現場には、第三者検査の必要性を感じています。


関西:鉢嶺 民雄