日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

イエンゴ保証機構


 当会の姉妹NPOのイエンゴ保証機構の総会及び会議が開催されました。


 「消費者保護」の観点から、NPO法人として運営するための意見交換がなされました。


 イエンゴ保証機構が運営する「イエンゴ完成保証」は、

当会の施工者推奨事業を補完する事業として生まれました。



 当会が審査し推奨する業者が倒産などの理由で、

建築主から請負った住宅の工事を継続できなくなった場合、

建築主にご負担をかけずに残工事を完成し引渡すための金銭的な保証を担保する制度です。



 この制度に参加する施工者は建築主が拒否しない限り、

請負う全ての住宅の完成を保証することが義務付けられます。

多くの施工者が負担の重さから需要者への完成保証に躊躇している現状を見るとき、

皆物件、皆保証を原則とした本制度の存在は画期的なものと考えます。



 完成保証は、保証機構に加入する全請負者が連帯して保証債務の責任を負うことにより、

不必要な基金や運営費の無駄を省き、営利主義を廃した透明な事業運営により、

きわめて軽微な負担で建築主は完成保証の恩恵を受けることができるようになりました。



 この完成保証を利用するには登録施工者でなければなりませんので、

お近くの加入業者にお問い合わせください。


NPO法人 イエンゴ保証機構


和室の減少

 部屋の広さを示す際に昔から畳の枚数で表現します。

 間取り図では「洋室(6畳)」「洋室(約7帖)」とし、

和室ではない部屋も畳の枚数が大きさ(広さ)の単位です。



 昭和生まれの人は和室が自宅にあることが多く、畳敷きの部屋で生活したことがあったり、

馴染みがあるのでイメージが付きやすいと思いますが、

2000年以降生まれの方が家づくりをする際には、

イメージ出来ないなんてことになるかもしれません。

家の売買広告を見ても判るように、近年和室は減少しています。



 統計を拝見すると、1980年には9割の住宅で和室があり、

それに加え床の間も有りましたが、2008年には「和室なし」が増加傾向にあり、

床の間のある和室は2割を切っています。



 1980年には2階建て住宅の2階にも和室が有りましたが、2008年にはほぼ無くなっています。

和室は近い将来無くなってしまうのか、無くなってしまうとすればなぜなのか、

それとも設けたいけど何かの理由で断念しているのか。



 昭和レトロが若い世代に注目されている今の流行りのように、

伝統への憧憬として和室が注目·再評価される時に、

建売住宅やローコストハウスメーカーが造作している「和室風」にならないように、

技術面と建材面の継承は続けていかなければならないと思います。



当会姉妹NPO法人の「地の家ネット」では

伝統技術の継承を実践している工務店が参加しています。





関東:石川 克茂


捨てコン ~捨ててはいけません、必要です。~  

基礎工事において鉄筋を組む前に行う地業(ちぎょう)工事。

指定の深さまで土をすき取ったところに砕石を入れ、突き固める。

そして湿気が上がってこないように防湿シートを全面に覆い被せる。



本来ならその上に捨てコンクリートといわれる厚さ5センチほどの

コンクリートを流し込み固める。略して「捨てコン」といいます。

そうすることにより、捨てコンの上に墨を打ち、基礎の通りを正確に出せます。

また、コンクリートの被り厚さの6センチもキッチリと確保できます。

この捨てコンがないと、防湿ビニールに直接墨を打ったり、

被り厚さが正確に確保できなかったりするのです。



写真のように作業員の体重によりスペーサーがめり込み、

必要な被り厚さ6センチの確保できていません。

大手ハウスメーカーでは、少しでも原価を抑えようと、

外周部(外壁の下)だけに捨てコンを打設し、

内部は捨てコンを省略している現場を多く見掛けます。

基礎の検査に行くたびに、現場監督や職人さんに

「捨てコンが無いと墨も打ちにくいでしょう?」

「施工精度も良くならないでしょう?」

「施工能率も上がらないでしょう?」と伺うと、

全員が口をそろえて、

「実は、そ~なんですよ、でも会社が決めていることなので・・・・・」

将来にわたり長持ちするいい家を造るためには見えないところを

キッチリと施工することが肝心です。



お客さんの為といいながら、お客さんのためにならない施工は如何なものか。

皮一枚、仕上の見た目ばかり、素人受けの家づくりはもうやめた方が良い。



昔から行われている施工材料や施工方法、施工範囲には理由や意味があるのです。

名称は捨てコンですが、「捨てコン」は決して捨てるべきではありません。

いい家づくりには、絶対必要なのです。



関西:鉢嶺 民雄



床合板 ~畳からの発想~

 木造住宅において壁は筋違(すじかい)を入れたり、合板を貼ったりすることで耐力壁となり、

地震や台風に抵抗することは良く知られていますが、床も構造的には一役買っているのです。


 壁が鉛直方向の構成に対して床は水平方向に構面を造り、外力に抵抗するのです。

厚さ24mmや28mmの構造用床合板が使われることが多くその施工の方法、張り方があるのです。

通称千鳥貼り(ちどりばり)といわれ、継ぎ目が十の字にならないように貼ると

全体が1枚ものとなり合板がずれにくく、力を発揮するのです。


 これは、屋根面も同じことです。

元を正せば、実は日本の伝統的な畳の敷き方からヒントを得ているのです。

合わせ目が十字になるように畳を敷くと、力が掛かった時にずれやすく、畳自体のもちも良くない。

十字にならないようにT字に敷詰めるとずれにくく、長持ちをする。

美観的にも美しく、実利を伴った方法なのです。


 また、合板が規格品であるかどうかは、ホルムアルデヒドの放散量や材寸等々の記入と

日本農林規格(JAS)の刻印がされ、認定品の確認ができるようになっています。


 現場に行かれた際には、一度注意深く観察して見て下さい。


関西:鉢嶺 民雄



〇〇様邸 ~日本語まで崩すハウスメーカー~

〇〇様邸 ~日本語まで崩すハウスメーカー~  


 我々が普段あまり使わない言葉に「邸」という語があります。
 家を建てるときに耳や目にする言葉です。

 「邸」という言葉は、広辞苑によりますと、「やしき」とあります。
 更に「やしき」を引くと、「立派な門構えの大きな住宅。邸宅。」と書かれています。
 すなわち邸という言葉には、敬意をこめてその人の家のことを言うのです。

 ところがいつの間にかハウスメーカーが見積書や図面に「〇〇様邸新築工事」という実に妙な言葉を使い始めました。

 これでは、様様と二重敬語になってしまいます。

 「邸」に「様」など付ける必要はないのです。
 正しくは、シンプルに「〇〇邸新築工事」で良いのです。

 今やハウスメーカーが先導し使い始めた間違った日本語を工務店までが真似て同じように使っています。
 大手が使っているので間違いないだろう。
 家づくりも同じですが、日本人が弱いブランド志向です。

 自分自身でしっかりと考え判断しないといけません。

 これっておかしくない?
 間違っていない?と
 惑わされてはいけません。
 おかしいことはおかしいのです。

 自信を持って「〇〇邸新築工事」と日本語を正しく守り遣っていくことが大切です。


関西:鉢嶺 民雄