日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

危険なブロック塀

 写真は、住宅街を歩いていて目に留まったブロック塀です。

ブロックの段数を数えると・・・・・・14段+基礎。

その高さ、なんと3.2ⅿです。

お隣との境界になぜこんな高い塀が必要だったのでしょうか?

隣家の1階部分が全く見えないほどの高さです。


 ブロック塀について建築基準法を確認しますと、

1.塀の高さは、2.2ⅿ以下とする。
2.壁の厚さは、15㎝(高さ2ⅿ以下の塀にあっては10㎝)以上とする。
3.控壁は長さ3.4m以下ごとに、壁面から高さの1/5以上突き出したものを設ける。
(高さ1.2ⅿ以下の塀は除く)

このいずれも満たしていない、いわゆる違法なブロック塀です。

おまけにブロックにひび割れもあり、傾きもありました。

大変危険です。


 1)~3)については、外見上だけで判断できるものですが、

内部に規定の太さの鉄筋が必要な本数キッチリと入っているのかまでは分かりません。

大きな地震が起こってからでは遅いのです。


 阪神淡路大震災から30年。

ブロック塀の倒壊により被害を受けた方も沢山おられます。

ブロック塀は重量もあり危険なので、地震大国の日本では、

できれば他の材料で塀を造ることをお勧めします。


 行政によっては、道路側に立てられたブロック塀の解体撤去費は、

補助金が出ることがあるようです。

残念ながらこの写真のような隣地との間のブロック塀には適用されないようです。


 このような違法のブロック塀に万が一、

何かあった場合には所有者責任となってしまいます。

気になる方は、一度確認されては如何でしょうか。

関西:鉢嶺 民雄


稼働検査  ~入居後の検査~

家づくり援護会の欠陥住宅予防検査では、工事中の検査だけではなく、

家が完成し、入居してから3~6か月の間に稼働検査を行っています。



住んで、生活をし始めて、初めて分かる不具合もあります。



大切な検査なのです。



床下に潜り込み、給水管や排水管の水漏れも初期の段階で

稼働検査で確認ができます。





その際に時々写真のような状況が見られることがあります。





家が完成する間際に電気業者さんや設備業者さんが

配管をする為に穴を明けて出たおが屑が床下にそのまま残っているのです。



現場監督さんが建物の引渡し前に床下に入り、

清掃状況を最終確認することは、まずありません。





これだけのおが屑があるとシロアリの温床となる可能性もあります。





家づくり援護会では、家づくりにとってどのような検査が

必要であるかを長年の検査実績より研究をし、考え続けています。



関西:鉢嶺 民雄



稼働検査  ~工事中以外の検査も大切です~

イエンゴ第三者検査の欠陥住宅予防検査。

その特徴である検査のひとつに稼働検査があります。



家が完成し、入居してから3か月~6か月の間に検査を行います。

一般的な第三者検査は、工事中に限った検査です。

勿論、工事中の検査も大切ですが、建物は入居して初めて、

生活を始めてからしか分からない不具合の発生もあります。



例えば、排水管の水漏れなどがその一例です。



先日の稼働検査の床下で起こっていた事例をご紹介します。

それは、床下断熱材の施工不良です。



厚さ100mmの断熱材が落下し、床下に落ちているものや、

垂れ下がっているもの、ずれ落ちそうなものが見つかりました。

他の箇所でも断熱材がずれているものもありました。



これでは、断熱材の効果が発揮できず、冬場の床下の冷たい空気が

室内に影響を与えてしまいます。



人間で例えると、冬場に

厚手の高価なコートを着ているのにも関わらず、

肩がはだけて出ているといった状況です。



普段見ることのない床下ですが、実は大事な検査なのです。

これが豊富な検査経験による家づくりの援護会の第三者検査です。



一生住み続けていく家です。

安心して快適に暮らしたいものです。




関西:鉢嶺 民雄


床裏断熱材の落下、ズレの状況


現場監督の仕事

 家を建てる際に現場監督が行う仕事は、大きく分けて、

 1.工程管理
 2.予算管理
 3.安全管理
 4.品質管理

と4つあります。


 1.の工程管理は、引き渡し日に間に合うように日程・工程を管理すること。

 2.の予算管理は、契約金額内で現場が納まるように原価管理をすること。

 3.の安全管理は、職人さんが安全に作業できるようにすることや

近隣の方の安全を確保することです。

 どれも大切なことですが、建て主にとって最も大事なのは、

やはり4.の品質管理ではないでしょうか。



 それが、現場サイドでは品質管理ではなく、引き渡し日を厳守するということに

重きを置いているようです。特にハウスメーカーでは顕著です。


 なぜハウスメーカーが工程管理を重視するかというと、

建て主さんは、賃貸住宅や仮住まいの方が多く、

引き渡し日が遅れると即、追加家賃が発生してしまい、クレームとなる。


 その結果、施工業者の家賃負担となってしまうからです。


 現場担当として沢山現場を持たされているハウスメーカーの現場監督は、

一番大切な品質のチェック、管理を行う時間が無いのが現実なのです。

その結果、現場を職人さんに任せっきりにしていることが実は多いのです。


 誰のチェックも受けずに現場が進み、完成してしまう。

 従って要所要所でしっかりとした第三者のチェックの目・検査が必要なのです。

 必須と言っても過言ではないかと思います。


 何事もそうですが、一人の目だけではなく、

 違う目で確認を行うダブルチェックが現場では特に大切なのです。

関西:鉢嶺 民雄


穴の周りをテープしてあるが、隙間があり雨漏りしてしまう。


基礎工事検査の重要性


 建築工事中の第三者検査の重要性を我々はお伝えしていますが、後からでは見えなくなってしまう部分の検査は非常に大切です。

 家づくりのスタートとなる基礎工事は、コンクリートを打ってしまうとそのなかの鉄筋の状態は後からでは全く見えなくなってしまいますので、必ずコンクリートを打つ前に見なければなりません。



 ポイントは、鉄筋が設計通りの物が適正に入っているかどうか、鉄筋の周りのコンクリートの被り厚さが取れているか、などをチェックします。

 基礎の中央に鉄筋が入っていることが基本となり、鉄筋と枠の間がコンクリートの被り厚さとなります。

 基礎は、鉄筋とコンクリートが一体となって適正な強度が確保されますので、この被り厚さは非常に重要です。



 この被り厚さをきちんと取らずに、適当に工事がされた場合は後々問題が発生してしまいます。

 出来上がったばかりのときはきれいな状態で、見た目では何も問題が無いように見えてしまいます。

 しかし、年数が経ってくると、コンクリートが薄い部分では鉄筋の錆が発生し、コンクリートを壊してしまうことも起こります。

 写真のように壊れた基礎を見てもらえれば、実は鉄筋がすぐ下にあったことが解ります。



 このように、後から解るようではどうしようもありません。
コンクリートを打つ前に、見えなくなる前に検査を入れることが大切であることがお解り頂けると思います。

理事長:植田 達二