捨てコン ~捨ててはいけません、必要です。~
基礎工事において鉄筋を組む前に行う地業(ちぎょう)工事。
指定の深さまで土をすき取ったところに砕石を入れ、突き固める。
そして湿気が上がってこないように防湿シートを全面に覆い被せる。
本来ならその上に捨てコンクリートといわれる厚さ5センチほどの
コンクリートを流し込み固める。略して「捨てコン」といいます。
そうすることにより、捨てコンの上に墨を打ち、基礎の通りを正確に出せます。
また、コンクリートの被り厚さの6センチもキッチリと確保できます。
この捨てコンがないと、防湿ビニールに直接墨を打ったり、
被り厚さが正確に確保できなかったりするのです。
写真のように作業員の体重によりスペーサーがめり込み、
必要な被り厚さ6センチの確保できていません。
大手ハウスメーカーでは、少しでも原価を抑えようと、
外周部(外壁の下)だけに捨てコンを打設し、
内部は捨てコンを省略している現場を多く見掛けます。
基礎の検査に行くたびに、現場監督や職人さんに
「捨てコンが無いと墨も打ちにくいでしょう?」
「施工精度も良くならないでしょう?」
「施工能率も上がらないでしょう?」と伺うと、
全員が口をそろえて、
「実は、そ~なんですよ、でも会社が決めていることなので・・・・・」
将来にわたり長持ちするいい家を造るためには見えないところを
キッチリと施工することが肝心です。
お客さんの為といいながら、お客さんのためにならない施工は如何なものか。
皮一枚、仕上の見た目ばかり、素人受けの家づくりはもうやめた方が良い。
昔から行われている施工材料や施工方法、施工範囲には理由や意味があるのです。
名称は捨てコンですが、「捨てコン」は決して捨てるべきではありません。
いい家づくりには、絶対必要なのです。
関西:鉢嶺 民雄