関東・首都圏 活動ブログ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

リフォームでも設計と監理が重要:欠陥・トラブル防止策 その2

前回の続きです。

2017年11月某日
リフォーム工事中に雨漏りを起こして、
そのことで工事方法全般に疑問を持ったという趣旨の相談がありました。

現場に伺ってみると、様々な問題が見えてきました。
1、図面と違う施工を行っている。
2、耐震要素として不適切な部分を耐震壁として計算している。
3、耐震要素を新設した箇所に梁がない。
4、お客様が依頼した当初より「暖かい家にしたい」という要望に応えていない。
5、契約時に約束した工期では初めから無理があった。
6、工事内容を請け負った大工にまかせっきり。
7、設計者は想定で図面を書き、現場監督はその設計の妥当性を現場に来て確認していない。

この現場を請け負っているのは某大手ハウスメーカーのリフォーム部門です。

4、「暖かい家にしたい」について。
図面と違う施工をして、防水まで完了しているバルコニーの下は部屋がありますが、
その部屋は当初の計画ではいじらないことになっていました。
バルコニーの下側ですしせっかくリフォームするのですから、屋根裏と同じように断熱材を入れるべきところですが、私が現場を確認すると断熱材が入っていませんでした。
ハウスメーカーの契約書・図面にはバルコニーの工事内容をお客様に説明する断面図が用意されていて、断熱材が施工するように記載されていたにもかかわらず、ハウスメーカーの営業の方は
「当社の規定では施工範囲外の箇所については基本的に既存のままとしています」との説明がありました。”お客様の要望よりも自社の規定を重視するのか”という印象です。
その他の部屋でもいじらない部屋の天井断熱材は昔のままの薄い断熱性の劣るもののままで、
断熱材を交換・追加するという提案がハウスメーカーからはありませんでしたので、
それも私が指摘して追加で入れました。
しかも当初の設計内容では今般新築住宅で使用している断熱材に比べて、
断熱性能の劣るものを使用する予定でしたが、「暖かい家にしたい」という要望をお聞きしたので、私が提案して断熱材のグレードを変更して施工しました。

5、「無理がある工期」について。
工期について現場での雨漏りがあったため数日現場が動いていなかったことと、
雨漏りの処理にかかる日数がプラスされるにしても、
工事が完了する日が契約した時の工期よりも2か月も先になりました。
お客様は安心できるものをより早くより安くを要望されるのが常です。
営業が仕事を取るために短い工期、要望があってもあえてお金のかかる工事の提案はしない、
ということにより契約通りの工期では無理があったり性能の良い断熱材を提案しなかったり、
ということが起きるものと思います。

次回に続きます。

関東:今井 利一