関東・首都圏 活動ブログ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

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続、家づくりに携わる当事者と第三者について 

前回の
「家づくりに携わる当事者と第三者について」では
当事者と第三者の立場の違いを書いています。

当会の第三者検査である「欠陥住宅予防検査」には
原則、依頼者の立ち会いを求めています。
本人が無理な場合は配偶者や近親者が立ち会われる場合もあります。

検査後、依頼者の方が立ち会われた場合は
依頼者の方と現場監督の双方に、
依頼者の方が立ち会われない場合は
現場監督に検査での説明をして、
指摘カ所は確実に是正を実施するようにしています。

依頼者の方がどうしても検査に立ち会われない場合は、
指摘カ所の概要を検査日または翌日に
依頼者の方、現場監督双方に
e-mail等でお伝えするようにしています。

検査に立ち会えないからといって、
検査の方法が変わることはありませんし、
検査後の指摘カ所の是正の実施が滞ることもありませんので、
安心して検査を依頼していただきたいと思います。

検査に立ち会う事が難しい方は
「委任状」(書式は当会でお渡しします)を
用いて、当会が依頼者の代理として検査に立ち会っています。

また、当会の「欠陥住宅予防検査」は
現場が設計図通りに施工されているか
否かを確認する検査ですが、
一般的な技術的基準・設計図が意図する内容の確認も含みます。

関東:今井 利一


家づくりに携わる当事者と第三者について

家づくり援護会では
以前より住宅にも資本や経済的のしがらみがない第三者的の立場から
トラブルを防ぎ、仕組みとしての不公正、不明瞭をただす役割について
具体的な提案をしていきたいと思います。

と当会の書籍「建てる前に読む本」の3章で書いています。

第三者的立場としての具体的な活動として「欠陥住宅予防検査」という
建築中(引き渡し後の稼働検査を含む)の検査を行ってきました。

「欠陥住宅予防検査」とは現場が設計図通りに施工されているか
いないかを確認する検査です。



「第三者」とは:
・当事者以外の人。当面する事柄などに直接関係を持たない人(明鏡国語辞典より)
・当事者以外の者。その事柄に直接関係していない人(広辞苑第五版より)

第三者は当事者以外の直接関係をしていない人といえると思います。


建築に携わる当事者とはどんな人たちでしょうか。

ハウスメーカーの営業担当者?
間取りの打ち合わせの時のメーカーの設計担当者?
営業所の所長さん?
現場監督さん?
現場の職人さん?

そのような方々も依頼者にとっては
家づくりを担っている方々ですので
家づくりの当事者という事になるのでしょうが、
このブログでは、
契約上、建築の法規上責任がある立場の人は
誰かという事にしたいと思います。

契約上、建築の法規上責任がある者とは

・依頼主(施主)
・工事を請けた法人(代表者)
・設計者
・現場*監理者

監理者:
監督し取り締まること。・・・・「管理」は
組織などを取りしきったり、施設や機械などを
良い状態に維持したりする事であるが、
それに対して「監理」は規則を適用して
監督し取り締まること、・・・
(スーパー大辞林3.0より)

建築の場合一般的には現場監督を「管理者」と
称する場合が多いです。


以上の4者は建築を行うときに
法基準に照らし合わせて建築内容を確認をする、
「確認申請」に記載されている当事者です。

この4者は当事者であり
それぞれに何かしらの責任があります。
また、責任があるということは裏を返せば
権限もあるといえると思います。


「欠陥住宅予防検査」の検査員は第三者として、
当事者である設計者が作成した設計図を元に
現場検査を行っています。

家づくり援護会は第三者的立場ですので、
検査を実施して指摘がある場合、
「現場監理者」と同じように
指摘カ所の是正方法や施工の指示を
する事は出来ません。
ですので、原則的には
検査には依頼者の立ち会いもお願いしています。

しかし、依頼者の方がいつも
現場に立ち会えるとは限りませんので、
立ち会えない場合は、
検査結果を施工会社に伝える事と
工事に不適切なカ所がある場合は
その改善を求めることについての
権限を委任されている事が記載された
委任状をいただいています。

今日は
住宅建築の第三者的立場と
当事者の違いについて書いてみました。

第三者的立場の良いところは
公平中立で事態を俯瞰して見られるところ
だと思います。

第三者的立場と責任がある当事者の立場を
混同している方がいらっしゃいますが、
住宅に携わる「当事者」と
「第三者」(家づくり援護会)を
うまく使い分けて家づくりを進めることを
お勧めします。

関東:今井 利一


検査に協力的かどうか

当会では「欠陥住宅予防検査」という工事中現場の第三者検査をおこなっております。第三者検査は今の時代一般的となり、建設会社の皆さんも、お客様が安心して進められればと検査実施にご協力いただいております。

そんな中、一部のハウスメーカーの現場担当者の中には検査時の立会いに非協力的な方が時々いらっしゃいます。営業担当の方は協力的なのに現場担当の方が非協力的なことが比較的に多いです。

とはいえ、過去の当会への検査依頼者の方は皆さん、検査を最後まで実施してきましたが、やはり建て主さんの安心に協力的でない会社に依頼するのは根本的に避けたいところです。
工事中のいろいろな建て主の要望も対応できない可能性があるでしょうし、アフターサービスも期待できません。

契約前に第三者検査を実施予定であることを建設会社に伝え、その対応の仕方をみるのも業者選びでは必要なのかもしれません。

関東:石川 克茂


匠会員訪問記 アクトホーム(静岡県)


当会の匠会員であり、静岡県島田市で創業110年という歴史を持つアクトホーム株式会社に伺ってきました。
日本の木造住宅における匠技術を継承しながら、現代の技術を取り入れた独自の家づくりを実践している会社です。

家づくり方針として「地域のヒト・モノ・ワザを紡ぐ」を謳っているとおり、手造りの家づくりの素晴らしさとともに地域の発展を大切に考え、地域の材料、地域の技術を合わせた家づくりは必見です。
「手造り」の良さを多くの人に知っていただくための催事や、実際の現場を見ることができる見学会を定期的に開催していますので、ご興味のある方は是非ご参加してみては如何でしょうか。
また、会社敷地内には、自然素材をふんだんに使い、住まいと暮らしの情報ステーションとした「アクトCafe」を開設しています。
家づくりの相談や打合せだけでなく、ワークショップやランチ会、ライブコンサートなど楽しい催し物も企画していますが、「いつでも気軽に寄れるコミュニティ場所として皆様のお越しをお待ちしています」(齋藤社長談)とのことです。
地域の皆さんとつながりを大切にしているからこそ言える言葉であり、齋藤社長の暖かい人柄を感じました。

関東:植田 達二



塀・擁壁 土地の所有者は責任を問われます

古くて背の高いブロック塀は倒壊の危険があります

昨日、大阪府の北部を震源とする震度6弱の地震が発生して4人の方が亡くなっています。

亡くなられた4人のうち、2名の方がブロック塀の下敷きになり亡くなられ、
1名の方は住居内の本棚が倒れ下敷きになり亡くなられました。

建物自体を耐震補強する事も重要ですが、より身近ですぐにでも始められる「防震」と称した地震対策を家づくり援護会では以前から提案してきました。
また自治会や地域のイベントなどでも「防震」の話をしたり、展示を行ってきています。

日々イエンゴでも4月23日のブログでは家具の固定について、5月15日のブログでは「おととしの熊本地震で倒れたブロック塀の下敷きになり死亡した男性の遺族と重傷を負った女性の方がブロック塀の施工者ではなく所有者を過失致死傷の容疑で告訴した。」というメディア記事の感想について書いています。




今回のブログでは、擁壁と地盤の崩落の例を挙げて中古の住宅や土地を購入しようとする土地の敷地内、または隣接する敷地に気になる擁壁やブロック塀がある場合と、購入する土地の状況をできる限り確認することをお勧めしたいということを書いています。



「日経ホームビルダー」の2018の1月号に「民家の盛り土崩落は自己責任か」という記事が載っていました。

2017年10月22日に関西圏を襲った台風21号により奈良県三郷町の近鉄生駒線沿いの高台にある住宅地の鉄筋コンクリートの*擁壁が、高さ約8m、幅約50mにわたって崩落したという記事でした。

*擁壁(ようへき):崖や盛り土の側面が崩れ落ちるのを防ぐために築く壁。(スーパー大辞林3.0より)


崩れた擁壁と土砂は16年前に開発会社が盛り土(もりど)工事を県に許可を出し行われた工事で造成後、開発会社が3回にわたり補修工事をしたが、この会社は倒産したとのことです。


この崩落事故は関西圏のテレビや新聞も大きく取り上げられ、一般人の関心が高まりその一般人の意見には住民の自己責任論が目についたそうです。

記事では、『確かに土地選びは自己責任だ。所有者としての管理責任も伴う。
宅造法16条には「宅地造成工事規制区域内の宅地所有者は、宅地を安全な状態に
維持するように努めなくてはならない」といった趣旨が記されています。
この現場は、宅地造成工事規制区域に指定されていたとはいえ、
この現場の居住者が盛り土の危険性をどれだけ認識していただろうか』と書いています。


千葉県の浦安市では、東日本大震災で液状化した住宅地の住民が
分譲住宅を販売した会社に損害賠償を求めて最高裁まで争ったが最終的には
住民が敗訴した、ということも有りました。


建物が建つ土地や、その土地に築かれた擁壁やコンクリートブロック塀などを購入したのも自己責任。購入後に安全性を維持するのも自己責任。
万一第三者に危害を加えてしまった場合、現状はそう判断されかねないということです。

新築や中古住宅を購入するときにその土地に気になる擁壁や塀が有るときや土地の性質は、建物だけの安全性の確認だけで無く、出来るだけ確認するほうがよいという事です。

家づくり援護会では新築住宅や中古住宅の購入診断という住宅を購入する方向けの検査があります。

購入診断は「目視」で行う検査です。
建物の外や中、床下や天井内、それと敷地内の擁壁や塀も「目視」で確認するようにしています。

検査するのは「目視」ですので表面に現れた兆候を検査する事になります。

気になる擁壁や塀がある場合で、擁壁の内部が盛り土になっているのか。
鉄筋が所定通り入っているのか。
など「目視」出来ないところと土地の性質などは売り主や
不動産業者に出来るだけ資料を集めてもらい検討することをお勧めいたします。

関東:今井 利一