建築基準法早わかり
どんな家が建てられるのか-建築基準法
ここでは、概要の建築法規をチェックリストにして分かりやすくまとめました。どんな家が建てられる土地なのか、どのくらいの面積の家が建てられるのかを簡単に判断する手助けとなります。なお、実際の法規的な確認申請業務は、国家資格を持った建築士による設計が必要となります(建築規模により資格の有無があります)。各項目の中で、どれに該当するか確認するのは、それぞれの敷地の所在地の役所の都市計画課で調べられます。直接出向いていって、係りの人に聞いても教えてくれますし、家を建てる旨を説明すれば電話で問い合わせても教えてもらえますが、その際に、敷地の住所、住居表示、地名地番など明確に伝えるとよいでしょう(図20)。
どのくらいの大きさの家が建てられるのか
敷地の広さに対して建てられる家の大きさは都市計画法による用途地域別に定められた建蔽率と容積率によって決められています(表10)。建蔽率とは敷地の広さに対して家を建てられる範囲を意味し(図21)、容積率とは家を建てられる床面積の合計の範囲を言います(図22)。
建物の高さ制限
建物の高さは道路の幅や、隣の敷地と建物との離れ具合によって決まります(表11・図23)。
参考までに、第一種低層住居専用地域の事例を二つ図示しておきます(図24・25) 。
シックハウス対策に関連した法改正
近年騒がれているシックハウスに対する施策として、平成一五年七月に新しい法律が施行されました。
それまでの国の施策では、合板をはじめとして、柱、梁などの構造材にまで集成材という工場生産品を認め、場合によっては推奨するような動きまでありました。また、表面に出てくる床材やドア材、窓枠、巾木などの建材関係も、ほとんどが接着剤の塊といえます。素敵なシステムキッチンや食器棚、洗面化粧台や下駄箱なども合板の塊であり、化学物質を撒き散らしているのも同然という状況でしたが、これらの規制については一切行っていませんでした。
一方では、断熱性や気密性について、省エネだとかエコだとかいいながら、家自体をくるむような工法を推奨し、密閉した空間の中で化学物質の揮発を住人が身体で受け止めざるをえないような施策を進めてきたのです。
それにより、過去では考えられないような病気、「シックハウス症候群」が蔓延することになりました。国としても、病気と建材の因果関係が明確にならないため(認めたくなかっただけかもしれませんが)、当初はさほど重要視をしていなかったのですが、マスコミをはじめ、世間で騒がれ始め、事実患者数が急増してきたため、目をそむけているわけにもいかなくなったのでしょう。
そうした流れを受け止め、今回新しい法律を作って規制を始めたのです。普通に考えればその原因の大元である工場生産品の建材や、住宅設備機器を規制するのが当然なのですが、国が決めた新しい法律は、それらはそのままにしておいて、室内の空気は汚いから、その汚い空気を外へ出しましょうといっているようなものです。当然そこには、新しいシステムの開発と建築工事費のアップが約束されますので、またしても業界の活性化を狙った施策といえるでしょう。ここでは需要者の負担は蚊帳の外です。
具体的には、建材や接着剤などにホルムアルデヒドの発散量によるランクを設け、ランクごとに使用できる面積を規制したのです。使用される建材にはF☆☆☆☆等の表示がされ、☆の数によって発散量が違います。F☆☆☆☆が最高ランクであり、使用面積の制限はありません。F☆☆☆やF☆☆などはそれぞれ床面積の何倍まで使用できると決まっています。また、無垢材をはじめ、陶器類、石類などはホルムアルデヒドの発散がほとんど認められないため、規制からも外れています。
考え方として、現在の家づくりでは、ある程度のホルムアルデヒドは発散され、また、家具などからの化学物質の発散もあるので、住人の身体への影響を低減するために換気設備を設けることを原則としました。原則というのは、ある一定の隙間面積が確保されていれば、自然に空気が入れ替わるであろうということで、その場合、換気設備が不要になります。ある一定の面積を確保しようとすると、隙間だらけの建物になり、襖や障子で囲まれた武家屋敷ような家を想像してもらえればよいと思います。
以上のことから、これから家づくりを行うときに、デザインや色だけでなく、きちんとした仕様で計画されているか、換気計算、換気配置に対しても理解があるかどうかを判断の基準として、施工者を選ぶ必要も出てきました
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