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第5章 家づくりの予備知識 C

第5章 家づくりの予備知識
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家の寿命

意外と長寿の木造住宅

ところで、家の寿命というのはどのくらいあるのでしょうか。
 家はさまざまな部分が集まって、一つの生活環境を形づくっています。人体にたとえると、筋肉や骨格に相当するのは柱や梁、土台などしっかりと家を支える構造と呼ばれる部分。皮膚に相当するのは豊かな生活を演出する色や形や質感などを表す床材、壁装材、天井材、窓の形や大きさ等、意匠と呼ばれる部分。そして生きる活力を体すみずみまで巡らせる血管や神経に相当するのが、給排水、給湯、ガス、電気、空調などの設備と呼ばれる部分。大きく分けてこの三つが家を構成する要素となります。
 家の寿命というのは、この三つの部分がどのくらい問題なく使用できるかということです。
 まず設備については、機械部分、たとえば給湯器、空調機、ガスレンジなどは一〇年で交換するのが一つの目安になります。給水管や、配水管、ガス管などは一五年から二〇年で繋ぎ目などが劣化して、漏水やガス漏れなどを引き起こします。
 次に意匠ですが、通常の材料で五年ほどで劣化してきます。ただ、壁紙や塗装は劣化したとしても、その修繕は比較的軽微で、これが傷んだからといってその家の寿命が尽きたとはいえません。建て替えなくてはならなくなるような状態をその家の寿命とするならば、次に挙げる構造部分がその家の寿命を左右することになります。
 家をつくる構造は大きく分けて、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造の三つが挙げられます(表12)。
 鉄筋コンクリート造は、従来60年が耐用年数の目安といわれてきました。しかし、現在ではコンクリートの素材の一つである川砂が手に入りにくくなり、代わりに、海砂や海外からの輸入砂が増えています。これらは多少の塩分を含んでいるので、コンクリートの中に入っている鉄筋を腐食させることが懸念され、耐用年数は30年から50年に下げられています。
 次の鉄骨造は、鉄が錆びることから、耐用年数は短く、おおよその目安として20年から30年です。
 木造については、木本来の性質からすれば50年以上は優にもつといわれています。日本古来の神社、仏閣を思い描いてみればわかるように、日本国内で100年以上利用されている建物で、木造以外のものは数えるほどしかありません。ところが問題なのは、現代の住宅では、柱と土台、柱と梁、梁と小屋組など大事な接合部分をボルトや釘、金物など金属材を使用していることです。これは先に述べた鉄骨造と同じく錆びます。そうすると、木自体はしっかりしていても、この接合部分が弱くなり、寿命が15年から30年程度となってしまいます。ただし、これは工法の問題で、木自体の性質ではありませんから、工夫次第でいくらでも木自体のもっている寿命を生かすことは可能です。


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